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二十一世紀人間環境宣言とは―

日本におけるダイオキシン、PCB、農薬による環境汚染の研究の第一人者でいらっしゃる 愛媛大学農学部の脇本忠明教授により提言されました。

脇本教授は、長年にわたる地球環境問題の研究の結果、地球環境の破壊を食い止めるためには 政治主導ではなく私たちひとり一人が立ち上がる必要があるという結論に至ったのです。
そして、ひとりひとりが「今さえよければよい」というエゴイスティックな行動原理を根底から改革し、 新しい人間観、世界観、そして環境観を基に、地球環境の破壊を修復・浄化し、 新しい世界を創造することを願ってこの「二十一世紀人間環境宣言」を提言されました。

すべての人々が理解し、実践することが出来る生き方とともに、そのために求められる 新しいライフスタイルを呼びかけます。


二十一世紀人間環境宣言

序言

 人間を含めたあらゆる生命と地球環境の未来のために、私は一人ひとりにとっての「人間環境宣言」とも言うべき本宣言を自らの切なる志とともに提案します。そして、この宣言を、現在と未来を生きるすべての人々、特に21世紀の担い手となる青年たちに委ねたいと思います。
 この宣言を生きようとする人は、まず何よりも「一人の人間として」という原点に立ち還らなければなりません。すなわち、
 科学者は科学者である前に一人の人間として
 教育者は教育者である前に一人の人間として
 医療者は医療者である前に一人の人間として
 経営者は経営者である前に一人の人間として
 政治家は政治家である前に一人の人間として
 技術者は技術者である前に一人の人間として
 農業者は農業者である前に一人の人間として
 ジャーナリストはジャーナリストである前に一人の人間として
世界と未来に向かい合わなければなりません。
 なぜなら、あらゆる人々が、それぞれが抱えている立場や先入観を超えて「一人の人間として」という原点に立つとき、私たちははじめて人間と地球生命の真実に直結して、解決すべき問題と向かい合う同志となることができるからです。
 私自身、科学者の立場と利害を抱えながら「一人の人間として」という原点に立ったとき、研究の対象であった問題は、自らが生み出した痛みある現実に変貌しました。自らの深い痛みなしに問題を語り、指摘することはできなくなりました。何よりもあらゆる生命存在への痛みを通じての連帯―立場やはたらき、年齢、性別、国籍を超えた多くの方々との絆を基とした、真の響き合いと協力が可能になりました。
 その時はじめて、専門的な知識は知識であることを超えて、解決のための力を人々に与え、専門的な技術は技術であることを超えて、解決のための道を人々に示すのです。
 ですから、私はあらん限りの力を振り絞って叫ばずにはいられません。「さあ一緒に『一人の人間として』という原点に還ろうではありませんか。今こそ人間としての原点から、人間と地球環境の新しい関係を創り出すときが来ているのです」と。

宣言本文

1、人間と地球環境は互いに分かち難く一つに結びついている。それ故に、地球環境を単純に対象化することはできない。人間は地球環境であり、地球環境は人間自身であって、環境を汚すことは人間を汚すことと同義である。さらに言えば、人間はあらゆる他の生命と同様に、地球生命の一部である。従って、私たちは人間だけを特別視し優遇した、いかなる環境観も認めることはできない。

2、私たちの外側に存在している現実は、私たちの精神世界と一つにつながっている。地球環境の現実は、人間の精神の反映にほかならない。つまり、現在の地球環境破壊の現実は、人間の精神の反映にほかならない。つまり、現在の地球環境は会の現実は、私たちの意識が快適な生活を変えようとせず、大気、森林、河川、湖沼、海など、自然の側だけを変え、コントロールして搾取してきた結果である。自分、自地域、自国、人間の利益を優先し、その歪みを他人、他地域、他国、自然に押しつけてきた結果である。それはすなわち、「相手を変える」「世界を変える」という「私は変わりません」の原則に基づく現実にほかならない。

3、地球環境の未来のために、徹底して外ばかりを変えようとする「私は変わりません」という原則の変革が不可欠である。すなわち、その原則を生み出す人間の精神世界―心のはたらきでもある受信と発信による受発色のトライアングルを根本的に変革したとき、そこから生まれる現実は一変してしまう。地球環境の回復を導く人間の受発色の変革の原則とは「私が変わります」である。

4、「私が変わります」宣言は、一人ひとりから始まる。いかに広大な地球環境の問題でも、一人ひとりの「私が変わります」宣言が積み重なり、意識とライフスタイルの変革の連鎖となって解決されるものである。ゆえに、「私が変わります」宣言こそが二十一世紀の「人間環境宣言」となる。

5、前期を基に、ここに五つの新しい原則を掲げる。

(1)人間環境観
私たち人間は、これまで地球を「資源」と捉え、人間のための「搾取の対象」と考えてきたが、決してそうではない。人間自身、この地球環境によって創られ、地球環境を構成する一因子であり、密接不可分の関係にある。故に人間は、地球環境と相互に響き合い、働き合って共生共存する関係であると捉える。

(2)資源観
人間は地球と響き合い共生共存する存在として、相互にエネルギーの交流を図る関わり合いをたいせつにする。地球資源はそのための介在であり、資源を活用し、人間の活動が活性化することによって、地球の生命力も一層豊かになるような関わりを目指す。当然のことながら、生態系に異常をきたすような資源の利用は断じて慎まなければならず、とりわけ化石資源は、地球全体の調和が保たれる範囲で大切にする。

(3)環境保全観
地球環境の破壊という現象は、人類にとって単に困った現象ではなく、人類のこれまでの文明の歪みを根本から建て直し、「私が変わります」を生き続けることによって、新しい文化・文明を創造するようにという、生きとし生けるもの一切からの切実な「呼びかけ」と捉える。

(4)環境科学者観
環境科学者は、環境の異変を人類に伝える単なるメッセンジャーではなく、徹頭徹尾「科学者である前に、一人の人間として」生き続ける。地球環境に異変が起こった場合、その自然や地球からの「呼びかけ」を迅速に受けとめて、地球のいのちを守るために、いたみある現実の切実さを人々に訴え、絆を基とした連帯によって行動する者でなければならない。

(5)廃棄物観
人間は地球と共生共存し、地球生態系を構成する一因子であるがゆえに、人間の活動によって廃棄されるものも、当然のことながら、地球の循環のリズムに自然に組み込まれるものでなければならない。従って、「廃棄物=不要物」ではなく、「廃棄物=資源」であり、廃棄物処理とは、もともと地球の一部であったものを、地球へ適切にお返しするための処置であると捉える必要がある。

(脇本忠明著『「私が変わります」が地球を救う』より)




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