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***オーガニック・コンポストの作り方***

**ただいまUP中!(図解はただいまペイントショップ・プロで奮闘中です。)
*容器(Composting Bins)*

(容器を使わない場合)
庭に直接穴を掘る場合は、最低でも30センチから90センチの深さが必要です。頻繁な切りかえしと湿気管理ができれば、庭の片隅に枯れ草などを積み上げるのがもっともシンプルな方法です。

(容器を使う場合)
チキンワイヤー・ネット、木、コンクリートブロック、ごみ用のコンテナ、または市販のコンポスト容器など。自治体によっては援助金が出ることもあります。市町村役場などに問い合わせてみてください。
※北米は多くの市で、蓋付のコンポスト容器を使わなければいけないという決まりがあります。


*サイズ*

特に決まりはありませんが、縦・横・高さ1メートルあれば適度な湿気と熱を保ちやすいので理想的。家庭用のコンポストは、三辺1メートル50センチを超えない方がよいでしょう。


*コンポストに必要なもの*

1.Greens(緑のもの)・・・・・・窒素(微生物の蛋白源)
緑の葉、刈ったあとの芝、トリミングした花や葉、家庭からの生ごみ(果物・野菜くず、コーヒーかす、茶がら、卵の殻、海草・・・)牛糞堆肥、馬糞堆肥、鶏糞堆肥など。(オーガニック・コンポストに使う家畜糞堆肥は、その「元」をつくる家畜の餌にも気をつけて下さい。オーガニックの餌のみを与えて育った家畜の糞を使った堆肥が理想的です。)

2.Browns(茶色のもの)・・・・炭素(微生物のエネルギー源)
わら、のこくず、枯れ葉、木屑、とうもろこしの茎など。

3.Air/ 空気
コンポストを作る微生物は酸素が必要です。酸素不足はコンポストのプロセスを遅らせたり、匂いが発生したりするので定期的な切りかえし(空気を送り込む作業)が必要になります。

4.Moisture/ 湿気(水)
コンポストには、固くしぼったスポンジ程度の湿気が必要です。雨や雪に当てたり、必要に応じて水分補給をして下さい。乾燥しすぎないように蓋で湿気をコントロールするのもよいでしょう。ただし、水分が多すぎるのはよくありません。この湿気管理、家庭用の小さなコンポストでは割と難しく、どうしても湿気過剰になりがちです。生ごみは一度乾燥させてから加えるといいでしょう。また、一度水分過剰になって腐ってしまったコンポスト(の材料)は再生するのが難しいので少し乾燥気味かな?というくらいが失敗が少ないです。

5.Biodegraders/ 微生物など
コンポストづくりの主役は、土の中にいるバクテリアや細菌、みみず達です。良質のコンポストを作るには、いかに彼らが働きやすい(生きやすい)環境を作ることができるかということにかかっているといっても過言ではありません。 人間がする作業は上にあげた必要なものを与えるだけで、残りの作業は全て微生物達がやってくれます。



*炭素と窒素の割合*

理想的な炭素:窒素の割合は、30:1です。(気温の低い時は〜50:1)
この割合は、それぞれの素材に含まれる炭素と窒素の割合で、単に茶色のもの(炭素)を緑のもの(窒素)の30倍の分量入れれば良いというわけではありません。

下の表をご覧下さい。(数値は、炭素:窒素の割合です。)

Browns(茶色のもの)・・・炭素 Greens(緑のもの)・・・・窒素
60:1 枯れ葉
90:1 藁、干草
500:1 のこくず
700:1 木屑や枝
7:1 鶏糞堆肥
10:1 腐植土
15:1 生ゴミ
17:1 刈った芝
20:1 雑草
20:1 牛糞堆肥
40:1 果物の皮など


例えば、枯れ葉・生ゴミ・雑草をそれぞれ同量加えると、炭素:窒素がだいたい理想的な割合になります。

計算方法は、それぞれの左側の数値(炭素)を足して
(60+15+20)=95
右側の数値(窒素)の合計が3なので、
95:3で理想の30:1に近い割合となります。

大体の目安としては、茶色のもの1に対して緑のもの2を加えるといいでしょう。


*オーガニック・コンポストに使ってはいけないもの*

乳製品、肉(※1)、骨、枯れた雑草(種を持っている可能性があるため)、病気の植物、大きな枝(分解されるのに時間がかかるため)、プロセス・フード(化学物質を含んでいる可能性があるため)、人間・ペット・家畜の糞(※2)など。オーガニック・コンポストにはなるべく紙類(新聞紙やダンボール、古雑誌など)は入れない方がよいでしょう。

(※1)肉類は、分解されるのに高い温度と長い時間がかかるため、家庭用のコンポストには大量に入れない方がよいでしょう。また、動物(熊、アライグマなど)をひきつける原因にもなります。

(※2)糞は、完全に熟成されて匂いのしない家畜糞堆肥であれば使えます。新しいものは植物が「やけど」したり、イコライ菌の温床になる可能性があるのですすめられません。
また、人間やペットの糞は化学物質を含んでいたり前述のとおりイコライ菌の温床になるので入れないで下さい。


*場所*

建物から30センチ以上離れた日当たりのいい場所か半日陰。日陰でも出来ますが、プロセスが遅くなります。
水道の近く、水はけのよい場所、生ごみなどを加えるために頻繁に行き来しやすい場所。北米の場合、住んでいる場所によってコンポストを置く場所に決まりがあるところもあります。お住まいの自治体に問い合わせてみて下さい。



*コンポストを作ってみましょう*

<一度に作れるだけの材料がある場合>

1.ベースとなるもの
底に小枝やとうもろこしの茎などを10〜15センチ敷く。(通風をよくしてくれます。)

2.土を20〜25センチかぶせる。

3.牛糞・馬糞・鶏糞などの堆肥を10〜15センチ加える。
※完全に熟成されたものを使って下さい。

4.緑のもの、茶色のもの(上の”コンポストに必要なもの”を参照)を加える。
60センチ毎に10センチの土と5〜10センチの牛糞・馬糞・鶏糞などの堆肥を加えて下さい。乾燥したら適宜水分補給も忘れずに。

5.最初の切りかえし作業。
気温や状況によって異なりますが、条件が良ければだいたい1週間程で発酵が始まります。発酵すると内部の温度が60度まで上がり、蒸気が立ち昇ることもあります。発酵熱が冷めたら最初の切りかえしをします。
切りかえしの方法は、スペード(シャベル)やフォークで下を上に、上を下に入れ替えます。この切りかえし作業によって、微生物に必要な空気を送り込んであげるのです。暖かいときは月に一度この作業を行って下さい。 必要に応じて水分補給も。

6.完全にコンポストになるまで4、5を繰り返す。
見た目がこげ茶色で細かくなり、完全に匂いがしなければコンポストは出来上がり。(気温や条件によって異なりますが、だいたい1ヶ月〜3ヶ月。)畑やコンテナにすきこんだり、種まき用土として使えます。


<毎日すこしずつ生ゴミなどを加える場合>

上記の方法と比べるとコンポストになるまでのプロセスはかなり遅くなりますが(約3ヶ月〜1年)、大抵のご家庭はこの方法になるかと思います。

1.ベースとなるもの
底に小枝やとうもろこしの茎などを10〜15センチ敷く。(通風をよくしてくれます。)

2.土を20〜25センチかぶせる。

3.生ゴミがでた都度、コンポスト容器の中へ。
※生ゴミを入れたら、必ず茶色のもの(枯れ葉、藁、のこくずなど)や土をかけて完全に覆って下さい。(または、切り返しを兼ねて底の方にすでに出来ているコンポストをかけても。)
これを怠ると、匂いや虫の原因となります。

4.時々、牛糞・馬糞・鶏糞などの堆肥を加える。

5.必要に応じて切り返し作業。
見た目がこげ茶色で細かくなり、完全に匂いがしなければコンポストは出来上がり。


*Compost activator*

コンポストの発酵・分解を促進する補助剤として、市販のバクテリアなどを加えることもあります。
市販のバクテリアのほかにも、イラクサの葉・コンフリーの葉・海藻(ケルプの粉など)・油かすはコンポストの発酵を早めてくれます。


*こんな時はどうする?*

問題 原因 解決策
アンモニア臭がする “緑のもの”が多すぎる
または、パイルがアルカリ性になっている。
切り返して、“茶色のもの”を加える。
アルカリ性になっている場合は、切り返して酸性のもの(のこくず、ピートモスなど)を加える。
腐ったような匂いがする 水分が多すぎる。
酸素不足。
水分の多い生ゴミは、軽く乾燥させてから加える。
切り返して空気をよく送り込み、乾燥した素材(枯れ葉、藁など)を加える。
発酵しない
(温度が上がりきらない)
“茶色のもの”が多すぎる。 “緑のもの”を加える。




*参考資料*

COMPOST/ RODALE ORGANIC GARDENING BASICS
How to compost your organic waste/ Minnesota Office of Environmental Assistance
Home Composting/ Massachusetts Department of Environmental Protection
Growing 101 Heabs That Heal/ Tammi Hartung
おいしい野菜の作り方/ 全国家庭菜園愛好会 編著